舞台袖から脱出して、一旦1番後ろの座席まで駆け出した。
見つかりやすい場所から狙撃などしてないだろうが、全景を見ておいたほうが良いと思ったからだ。
体育館の1番後ろに陣取り、四方八方に気を巡らせる。
親父なら一発で見つけるだろうが………俺では、
左右の二階通路に、劇用のスポットライト。
舞台下手側に、不穏な空気。
一瞬
あんなに明確に、澱みはしない。
そしてもう一つ、気になる澱みが。
舞台
あの位置からでは、静流を狙撃する事なんか出来ない。
だが………澱んでいる。
今場内に流れている気は、主に三種類しかない。
演じる者と、魅入っている者と、エロい欲望に身を浸している者の三種類。
つーことは、それ以外の気が狙撃者だっつーことだ。
体育館内で澱んでいるのは、3箇所。
二階通路の、下手側照明。
そして………今、俺が居る右手側!
「………!」
軽くステップして、裏拳を放つ。
狙いは喉。
「……!?」
対象が身を屈めた。
これでこいつが、狙撃者だと決定。
学園の制服を着ているが、普通の学生が俺の攻撃を
もし普通の学生だったら、謝ろうと思っていた。
まあ、一般人でも死なないよーに、手加減はしているが。
結果として
「……!」
暗闇の中、狙撃者が腰に手を回した。
光のあたる舞台では、康哉が静流と一緒に、なんかと戦っている。
陳腐な劇だけど、楽しいんだろうな。
俺は、別に………。
「シッ!」
狙撃者の手に、忍刀。
これで決定。
俺の敵は、忍者らしい。
別に忍刀持ってるのが、忍者だけとは限らないが……。
小太刀とは違う、忍刀独特の
長年の修錬のみが可能にする技法だ。
「っ!」
振り下ろされた忍刀を左手で絡め取りながら、右手に
影友に切られた個所は、既に修繕済み。
「……!」
「………!?」
忍刀を床に誘導しながら、
曲がっちゃ行けない方向に、狙撃者の膝が曲がった。
ぐちゃ。
わぁぁぁぁぁ!
舞台への歓声が、破壊の音を掻き消す。
舞台は光。
俺は闇。
別になんの感慨も湧かない。
生れ落ちた時から、決まってる事だ。
「……ぎゃ……!?」
「シッ!」
忍者のくせに、苦痛で喚くんじゃねぇ。
膝の折れた狙撃者の喉に、手刀を叩き込む。
さらに手刀を開いて、喉を鷲掴みにする。
そのまま捻って首の後ろを掴み、床に叩きつけた。
気管を掴んでの、一本背負い。
これで一瞬、声が出なくなる。
「静かに寝てろ、この」
立ち上がりながら、狙撃者の右肩関節を逆に取る。
片羽固めとゆー、ポピュラーな極枝だ。
もっとも伊賀崎流だと……。
「これで、一人」
延髄を踏みつけながら腕を捻り上げると同時に、首を転がすように踏み抜く。
ごりって。
ま、一般人と違って、死にはしないだろう。
数時間、動く事は出来ないだろうが。
「ふぅ……」
音を立てないように仕留めるのは、骨が折れる。
だが………。
『ここが……エネバーランドか………』
『勇者よ……初めてお会いできましたね』
『……わたしの生まれた国………』
あの舞台の邪魔をする訳には、いかないからな。
アルバム(後編)
次に俺は、
あそこは舞台装置とか置けるスペースはあるものの、せり出しているので直接は狙えないはずだ。
しかし、だからこそ、直ぐに潰しておかなければいけない、重要な場所でもある。
舞台を狙うため、強引な手段を取られると厄介だからだ。
例えば、化学兵器的な物。
煙幕に紛れて、殺傷能力の高い毒霧など使われては、マジで洒落にならねぇ。
一般学生を、巻き添えにする訳には行かない。
静流が学園に通う、一番の懸念だからだ。
そのため『百地』から、数十名のボディガードが、学生を守るためだけに派遣されていると聞く。
静流の身を守るのは、康哉一人居ればお釣りが来るからな。
静流が康哉から逃げ出さなきゃ、の話しだけどよ。
「……………」
慎重に、
こういった
爆薬、毒針、仕込み刃。
俺がこの町から離れて『仕事』をしていたときなどは、途中まで登った時、突然刃付きの金属板が滑って来た。
あんときゃ、15mくらい落下したっけなぁ。
しかも、両脇にも刃が仕込まれていた。
落ちながら、これはナイストラップだと思ったもんだ。
今回は幸い、なにも細工はされていなかった。
…………居るな。
鏡と違ってクリアな画像ではないが、これで充分だ。
黒い人影が見える。
得物は……襲撃には向かない、長物だ。
多分、槍と細身の斧を組み合わせたタイプ。
…………なんだか、光物もそこら中に付いてる。
襲撃者は、馬鹿決定。
それとも、なにか特殊な機能でもあるのだろうか?
どちらにしろ、やっかいだ。
「…………」
黒い気配。
一般人の訳が無い。
気配を押し殺しつつ、
黒い人影まで、約4m。
呼吸を整え……一気に跳躍!
「……!?」
黒い人影が、俺の気配に気付いた。
無音駿足のはずが……やるな。
先ほど鏡代わりに使った
「……くっ!?」
ハスキーなうめき。
襲撃者は……女か?
ま、性別はどうでも良い。
着地と同時に、間合いを詰める。
「シュッ!」
黒い人影が、長物で突いて来た。
槍術の基本的な直突き。
が、戻りが滅法早い。
かなりの手練だ。
接近戦に持ちこみたいものにとって、有効な防御手段になるだろう。
普通の忍者相手なら、な。
「っ!」
無数の斬撃の中から、穂先を
この程度のスピードで、俺を停められると思うなよ。
相手の引く力を利用して、予備動作無しで飛び込んでやる!
「……」
なにっ!?
なんの執着も無く、襲撃者が槍を離した。
綱引き状態になると予想してしまった、俺の動きが一瞬止まる。
ふおん。
「くっ」
身を屈めた頭の上を、何かが通り過ぎる。
円運動の凶器。
鎖分銅?
それにしては細い…………。
鎖じゃなく、鋼線じゃなく……。
紐かっ!?
「……!」
円運動していた凶器が、不意にその力を失った。
俺の頭上に降ってくる。
鎖や鋼線なんかじゃ、こうはいかない。
武器自体の重みが、極端なストップを阻むのだ。
紐だからこそ可能な、組み紐捕縛術。
………………捕縛?
不味いっ!
俺の首に、紐が絡み付く。
巻きではなく、掛け。
つまりこの紐は、円形に結ばれていると言うことだ。
つーことは……片方の紐を引いて回すだけで、切れるということ。
「くっ!」
前方の暗殺者目掛けて、飛びかかる。
我ながら不味いと思うが、しょうがねえ。
敢えて罠に飛び込んでやる。
首に掛かった紐の緊張が弛んだ。
武器の性質を理解して、行動に移す。
これを一瞬で出来るかどうかが、生死を分けるのだ。
もっとも、飛び込んだ先も手の平の上なのだが。
「シュッ!」
飛びかかった瞬間、黒い人影が拳を突き出してくる。
いや、拳じゃない。
手に何か暗器を携えて……寸鉄…………
暗器の中でも、三種の神器と言われる
組み紐と寸鉄を組み合わせた、汎用性の高い暗器だ。
寸鉄突きを
かといって、寸鉄で突かれる訳にはいかねー。
「っ!」
「……にっ!?」
さぞかし驚いたのだろう。
黒い影は、思わず驚愕の声を上げていた。
普通の防具では、受けとめられるはずも無い寸鉄を、たかが手甲が防いだんだ。
熟練者の寸鉄での一撃は、黒銅の鎧にすら致命的な穴を穿つと言う。
「……!?」
劇の効果音に、俺の呼吸音が掻き消される。
下で見ている奴等には、頭上の戦いなど認識出来ないだろう。
こちらは闇なのだから。
本来なら、受けとめた
しかし……見てしまった。
一瞬ライトに照らされた、黒き襲撃者の姿を。
相手も俺が確認できたのだろう。
二人で動きを止めて見詰め合う。
「…………なにしてるの……かしら……」
「って、身内かよっ!」
死闘と呼んでも差し支えの無い攻防。
それを繰り広げた相手は、俺の義姉。
「……弟……?」
黒くてとーぜんの、蓮霞だった。
「こんなところで、なにしてんだよっ!」
「なにって……私は、貴方の姉では……ないわ……。今の私は………七鍵の悪魔司祭の一人………バラトロン…………です……」
「なげーよ」
良く見ると蓮霞が身に纏っているのは、忍び装束じゃなくて黒いドレスだった。
胸が半分以上見える、扇情系の衣装。
しかもなんのつもりか、顔が半分隠れる仮面などかぶってやがる。
俺は軽い目眩を覚えた。
「貴方こそ……誰なのです……?」
「あのな…………劇じゃねーんだ。誰も見てない所で演技しても、しゃーねーだろ」
「……そうね……。てゆーか、弟……?」
「ん?」
「何故……襲いかかってなど……来たのかしら……?」
忍者が襲いかかる理由など、一つしかない。
排除するためだ。
「襲撃者かと思ったんだよ」
「……襲撃……者……?」
「ああ。この場内に……何か居る」
蓮霞も忍者だ。
それだけの情報で、全てを解かってくれるだろう。
しかし……俺の感知も、中々優秀だな。
この場内で、一番黒い気配に反応するとは。
襲撃者より、黒い姉、か。
なんか、泣けてくらぁ。
「……そう……手伝う?」
「いや、大丈夫だ。蓮霞は劇の続きを頼む。静流には内緒で」
「……解かった……」
てーことは、ここは異常無し。
後は……。
「って、思わずスルーするところだったじゃねーか」
「……なに?」
振りかえると、蓮霞が不思議そうに小首を傾げていた。
何じゃねーだろ。
「なんで学園祭のクラスの劇に、卒業した蓮霞が出てんだよ?」
「それは……奈那ちゃんから……オファーされたから…………ね」
「受けんなよっ! てゆーか、クラス祭にならねーだろっ」
「……私も……そう思ったのだけれど……」
蓮霞は天を仰ぎ見た。
何かを思い出すような仕草。
ま、それは置いといて。
ドレスが、非常に色っぽい。
蓮霞の多少薄い胸を押し上げて、見事な谷間を形成している。
くぅ。
「…………奈那ちゃんに……どうしてもって……言われて……」
「だからてなぁ」
「この役は……私にしか出来ないって…………言われて」
「あのな……」
「天を……人を……魔法少女を……悪魔をも……欺く………地獄の乙女……」
「…………」
空ろな目で、身を捩らせる。
お、俺の姉が、何処かに行ってしまった。
しかも天上じゃなく、下方向に。
そんなキャラ付けで、お前は本当に満足なのか?
「……
「ま、頑張ってくれ」
悶える蓮霞を後に、
くだらねーことで、時間を使ってしまった。
劇はまだ中盤って所だろうが……。
今の戦闘は、痛かったな。
澱んでいるのは……下手側の照明。
あそこには、ウチのクラスの奴が居るはずだ。
なのに、澱んでいる。
心の中で、殺されていないことを祈った。
劇に見とれていたとは言え、これは俺の失態だ。
澱みに気付かなかった、俺の。
『なぜ、私を阻むかっ! 我が実験体よっ!』
『……じっけん……たい?』
『……くっ…………』
『本当なのか、ジャスミン!』
『貴方には……知られたくなかった…………』
舞台を背に、入り口方向に駆け出す。
舞台の上では奈那子と静流、康哉が盛り上がっていた。
もう、雑魚の出番は無いだろう。
安心して、自分の仕事に戻れる。
『じゃあ……僕を連れてきたのも……グラン・グリモア復活のためなのか!?』
『違うわっ! 私は……信じてっ!』
『そう言うことだ。異界の剣士よ。貴様は、贄となる為だけに召還された、とんだ道化というわけだ』
『違うのっ! 信じてっ!』
『……解からない……何もかも…………』
しかし、やけに緊迫した魔法少女だな。
「よっと」
入り口近くから、周りを見計らって二階に飛ぶ。
襲撃者は息を殺して、静流の隙を狙っているだろう。
間隙を突くなら、後ろから。
当たり前過ぎるほど、忍者の基本だ。
「………………」
40m前方に、照明器具。
手すりに身を寄せ、気配を消して気配を探る。
居るな。
一般陣では解からないだろう、澱み。
我が姉よりは弱いが、確かに澱んでいる。
この気配は、記憶に有った。
何処にでも居る、ごく普通の暗殺者。
「……」
そっと間合いを詰める。
二階渡り通路には……二人。
一人は…………呆れた事に、ウチのクラスの朝倉だ。
背後に居る忍者の気配に気付きもしないで、一生懸命ライトを操作していた。
まあ、しゃーねーか。
忍者の隠形に気付けって言う方が、無理だもんな。
しかし、参った。
あの位置だと、どうしても戦闘の影響が朝倉に及ぶ。
手すりと窓枠に挟まれた通路では、隠れ場所も無い。
「…………」
『哀れ成り、人の子っ! その血肉を捧げよっ!』
『…………僕は…………』
『逃げてっ! 私はどうなっても良いの…………。プリンセスを……世界をっ!』
『……逃げられると……思って…………?』
『貴方は……バラトロンっ!?』
『久し振りね……ジャスミン……貴方が私の半身を……切ったとき以来……かしら……』
「…………」
あー、うるせ。
耳障りな雑音を無視して、じわじわと間合いを詰める。
標的まで、20m。
いくら俺でも、一足飛びとゆーわけには行かない距離だ。
もう少し……。
少しずつ……。
流れ出ようとする汗を、精神力で押し止める。
滴り落ちる汗の音を、襲撃者に聞かれたくないからだ。
『僕は……君を信じるっ!』
じゃかじゃーんっ!
びくっ。
突然巻き起こった大音響に、思わず肩を挙げてしまった。
それは襲撃者も一緒だ。
緊張しているところで、後ろから肩を叩かれたのも同然。
気配が揺れる。
「っ!」
「……!?」
動いた瞬間、察知された。
構うもんか。
襲撃者は膝立ちのまま、何かを
細い小刀……いや、棒手裏剣か。
食らうかよっ!
「!」
空中で手すりを蹴る。
さっきまで俺が居た位置を、黒い凶器が擦り抜けた。
「!」
斜めに跳躍し、窓枠を蹴る。
そしてまた手すりを。
窓枠。
手すり。
柱。
手すり。
「っ!?」
そんなに驚くほどの技法じゃねぇ。
リズムを読まれれば、格好の的だし。
それでも狙いを絞らせないだけの効果は有る。
俺が欲しいのは……。
「……!?」
その一瞬。
「っ!」
突き出して来た忍刀を、左手で捌きながら右腕刀。
襲撃者の首に叩き込む。
「っ……」
右手で相手の背中を掴んで、前方回転。
気道を圧迫しながら、頚骨を曲げちゃいけない方向に曲げる。
ごきっ。
ぱぐっ。
自分の背中が接地するのと同時に、的の後頭部を床に叩きつけた。
相手の首を極めたまま、ブレンバスターを食らったようなアクション。
もちろんこっちは技を仕掛けたほうなので、設置した瞬間手を離して丸まり、衝撃を逃がしている。
『楯岡』流、
そのまま前転して、朝倉にご挨拶。
「よっ♪」
「うわっ! ………ナニしてんだよ、イガっち」
……。
背後に寝ている襲撃者は、完全に沈黙してるな。
これで起き上がってこられたら、朝倉の膨らんだ腹に一発くれなくちゃいけない所だった。
「いや、何か手伝う事、あるかと思ってよ」
「……大人しくしててくれ。イガっちが絡むと、ロクな事に成らないから」
理解してやがるな、朝倉。
まあ、いい。
これで澱みは解消された。
一番気に掛かる澱みは舞台上なので、ほっといても構わないだろう。
俺の仕事は終わったはずだ。
人知れず、3忍撃破に15分。
あ、1忍引き分け。
なかなか良いタイムだった。
「………………」
「どした、イガっち」
「いや……なんでもねー」
なのに何だろう?
この拭えない焦燥感は。
『……お前は、何を企んでる? 我が実験体の一人の分際で?』
『……なんにも……ただ……』
『ただ?』
『人は……面白すぎて……消すにはもったいないのです!!!』
『馬鹿なっ! 裏切ると言うのかっ!?』
『そう作ったのは……貴方でしょう……ドクター・ブリアレオスっ!』
二階の渡り通路から、場内を見まわす。
舞台の上ではぐったりしたみどりちゃんの周りを、奈那子と蓮霞がはしゃぎまわっていた。
良く見ると、康哉が床の上に寝転んでる。
何されたんだ、あいつ?
もう何も無い。
澱んだ気配など、微塵も無い。
客席も。
通路も。
舞台上も。
なのに、嫌な予感が消えない。
何故だ?
自分でも訳解からない焦燥感が、胸の中を駆け巡る。
解からない。
解からないが……このままじゃヤバイ。
なにがヤバイか解からないが、とにかくヤバイ。
『……人の……力…………』
どこからか、静流の声が聞こえて来た。
スピーカー越しの声。
ヤバイ。
『倒れても……歩き始める……』
焦る心を押し殺し、もう一度場内を探る。
どこにも、危険を感じる物は無い。
無いんだ!
『一度崩しても……また転がり出す……』
客席!
通路!
舞台!
何も無い!
なのに何故俺は!
見つけられない!
見つけられないんだ!
『人の夢……明日への光り……儚く輝く足跡……』
どこにも、気配は無い……。
無い?
対面の二階通路……。
そして最前列の一席……。
気配が無い。
まるでそこに穴が有るように、ぽかりと気配が無い場所が二つ。
『破らせない……人が諦めない限り……紡いでいく物語だけは……』
この世の中、全ての物に気配は有る。
人にも。
動物にも、植物にも。
人の作った物にも、気配は有る。
矛盾してるかもしれないが、『気配を消している』という気配もあるのだ。
俺はそれを感知して、的を撃つ。
超能力じみてるかもしれないが、長年の修錬と経験が、それを可能にする。
が……しかし……!
『守ってみせる!!!』
舞台に閃光と煙幕が走り、静流の気配!
それと同時に、二つの黒点が動き出す!
(康哉、
麦食みで叫んだ後、天上目掛けて飛び出す!
この距離でも康哉なら聞こえると信じて。
信じられないのは、俺の跳躍だ。
「……っ」
天井の
「……っそっ!」
後……2m……全然届いてねー!
(右、40!)
今のは……。
必死に右手を伸ばす。
風切り音。
そして……感触!
「!」
指先に触れたものを、必死に手繰り寄せる。
独特の技法で編まれた組み紐と、分銅代わりの寸鉄。
腕を回して、寸鉄を天井の
ナイスだぜ、姉っ!
そっちは任せたぜ、康哉。
気配など無くても、あいつなら!
こっちはこっちで、まだ問題が残ってるし。
(凛っ!)
再び麦食みで叫びながら、
その頂点まで来た瞬間、
暗闇の場内では使用を控えていた『楯岡』特製の飛針を、前方の
青い光りが、一瞬点灯する。
あれが目印だ。
あいつなら!
「!」
全身のバネを使って跳躍。
それでもまだ、向いの通路までは届かない。
だがっ!
ひゅっ。
前方に再び風切り音。
天井からぶら下がった分銅付きの鎖が、鈍い光を放つ。
暗闇でも見える、日常への蜘蛛の糸!
右手でしっかりと握る。
全体中が、再び振り子運動。
………………。
見えたっ!
「!?」
「……っ!」
二階通路に、矢を番えた忍び。
俺に気付いたのか、最初から気付いていたのか。
感じる事の出来ない気配が、一瞬揺らいだ。
それでも、俺には目もくれない。
舞台上に狙いを付け、弦を引き絞る。
通常の矢よりも、弾頭が太い。
見た事の無い矢尻。
まるで筒のようなそれを、晴れていく舞台に向けた。
なめんな!
「シッ!」
おそらく俺の人生で、最速の抜き投げ。
弓の登頂部―――
張力を失った矢が、空中に踊り出した。
「っ!」
「らぁっ!」
ぼぐっ。
襲撃者が忍刀を抜くよりも早く、抜き投げの推力を利用しての後ろ回し蹴りを首に叩き込む。
自分で思うよりも、怒っていたらしい。
踵の下で、首の骨が折れる感触。
折るだけなら、死にはしない。
ホントホント。
ばぎん。
「うごっ!」
そのまま自分の身体を、窓枠に叩きつけてしまった。
俺、空中ブレーキとか効かねーからな。
「なっ!?」
前方でもう一人の照明係、小山田が身体を振るわせる。
そりゃ、びっくりもするよな。
「な、なにやってんだよ、伊賀崎?」
「い、いや、酔っ払いが居てさ。つまづいちゃった」
苦しいか?
だが小山田は肩を竦めて、小声で言った。
「またかよー。悪いけど、医務室に連れてってくれるか?」
「おーけーおーけー」
どんな学園祭なんだ?
ま、そのおかげで助かった訳だから、あまり文句も言えねーよな。
弓矢と名も知れぬ忍びを回収して、通路を歩いて戻る。
そっと運ばないと、今度こそ死んじゃうからな。
『……プリンセス……貴方は……』
ふと振りかえると舞台の上では、みどりちゃんが消えて見たことの有る女が、ひらひらした衣装で踊っていた。
姉妹揃って、友情出演かよ。
しかも手に持った長いバトンを使用せずに……。
『えーい!』
自分の姉に対して、フランケンシュタイナーを決めている。
肩に飛びのって、首を極めての後方宙返り。
思わず習いたくなるほど、綺麗な技だ。
『……ぐっ……』
『さあ、ジャスミン……いいえ、未来のお母様……そして、お父様……』
キテレツな衣装の緋那が、手を振りかざした。
康哉と静流が、立ち上がる。
康哉の手には、小道具代わりの帯剣の他に……なんだ?
なにかを握っていた。
劇の小道具とは思えぬ、異質な気配。
『闘いましょう』
『……プリンセス……』
『君は……』
『人は……負けません!!!』
………………。
溜め息一つついて、光り輝く舞台に背を向ける。
ああ、そうだな。
負けねーよ。
………………………………………………………。
……………………………………。
………………………。
「それでは、我がクラスの優秀賞を祝いまして!」
『カンパーイ!』
紙コップが、教室中のあちこちでぶつかり合う。
中身の殆どが出てしまってるのは、ご愛嬌だ。
そんな様子を見詰めながら、壁にもたれかかったまま座り込む。
…………疲れた。
「やー、やっぱり、静流が主役で良かったわー♪ 優勝だよ、優勝♪」
「そそそ、そんな……奈那子の脚本がよかったからだよー♪」
満更そうでもない二人を尻目に、ちびりと紙コップのジュースを飲む。
あの後俺が倒した忍びを回収してる内に、たいそう盛り上がる物語が展開されたらしい。
ちなみに回収した忍びは、極秘で百地衆に渡しておいた。
紙一重で生きてたから、これから死んだほうがマシって拷問が待っているだろう。
耐性訓練なんかじゃ太刀打ち出来ない、百地の拷問。
もっとも……知性が残ってればだが。
ぐったりとした俺に、凛と緋那がよって来た。
「なんや、兄さん。えらい疲れてますなぁ」
「大丈夫、お兄ちゃん?」
「ほっとけ。てゆか、なにいけしゃーしゃと、人のクラスの打ち上げに混ざってやがる」
「だって、康哉はんのスナップ、撮っとかな♪」
答えになってねー。
でもまあ、凛のおかげで助かった面もあるので、大目に見といてやろう。
「な、奈那子さんが、混ざってってゆったもん。てゆうか緋那、主役だよ、主役」
「ラスト5分だけやけどな♪」
「あー、ひどーい、凛ちゃん!」
「……可愛かったわ…………凄く…………可愛かった…………」
拗ねる緋那の肩を、黒い物体が叩いた。
てゆーか、着替えろよ、姉。
「藍田さん……緋那のかわゆいショット…………納めてくれた……かしら……?」
納めないと呪うぞ的なニュアンスで、蓮霞が凛に詰め寄る。
それは凛も感じたのだろう。
顔面蒼白に成りながら、無理に笑顔を作った。
「そ、そりゃ勿論ですがなっ。アップで24枚ほど写させて頂きましたぁ」
「24枚……まあ、いいわ……」
何枚ほど納めれば気が済むんだ、バカ姉。
「……時に……弟?」
「ん?」
「きちんと……自分の仕事……
「…………ああ」
「そう……。何に使ったか……知らないけど……私の
「あ、そうやっ! ウチの
……忘れてた。
まだ体育館の
あの時、体育館の端から端までダイブ出来たのは、蓮霞と凛の協力あってのことだった。
打ち合わせもせず、状況を飲み込みもせずの助力。
これしかねーってくらい、絶妙だったな。
なんか……感謝してる。
口には出さねーけど。
傍で聞いていた緋那が、不思議そうに小首を傾げた。
「なんか解かんないけど……緋那たち、もう帰るね」
「なんだよ、もうか?」
「うん。お父さんがお祝いに、ご馳走作って待ってるから♪」
「なんの祝いか、全然解からん」
「緋那の主役祝いだよ♪」
「ラスト5分だけやけどなー♪」
「もう、凛ちゃん!」
「……それに……行方不明のレイナを……探さなくては…………」
あんの、薄胸……。
出番少ないくせに、迷惑掛けやがる。
まあ、俺にじゃないから、いいけど。
「じゃあお兄ちゃんたちも、早く返ってきてねー」
「ああ」
蓮華達は、楽しそうに夕暮れの教室から去っていった。
それと入れ替わり状態に、奈那子が寄ってくる。
ニコニコしながら、紙コップを差し出す。
そーいえば、いつの間にか空に成ってた。
「おつー、イガちゃん」
「奈那子もな」
「うん♪」
「…………」
「やったね、イガちゃん」
「俺は何もしてねーよ」
「そうだそうだ」
喧騒の中から、男どもが囃し立てた。
照明係の朝倉に、雑用兼役者の山崎。
「イガっちってば、邪魔ばっかするんだもんなー」
「…………汚された…………」
「悪かったって」
「あははっ♪」
俺達のやり取りを聞いてた木バナナが、笑い出した。
晴れやかな笑顔。
眼鏡のフレームに、夕日が反射する。
「でも、みんなのおかげで、上手くいったんだよ♪」
「ま、それはそうか」
「意外に伊賀崎、器用なんだよな。大道具作るときとか、助かったよ」
忍者に向かって、器用はねーだろ。
当たり前だっつーの。
それとも俺、忍者として認識されてないのかな?
都合良い反面、ちょっと寂しい。
「なー、伊賀崎。今度はもっと派手な事やろうぜ。バカみたいな事、一生懸命」
「あ、自分も手伝う」
「……ああ」
山崎と朝倉が、笑いながら喧騒にまぎれていく。
その後ろ姿を眺めながら、奈那子が呟いた。
「ね、イガちゃん」
「んー?」
「こっちに流れて、良かった?」
「……意味は解からんが、取り敢えず頷いておく」
「あはは♪」
良かった……よ。
楽しいと、素直に思ったし。
「これで、京都での自由時間、ゲットゲット♪」
「なんだよ、なんか有るのか?」
「…………」
「まさか、康哉にアタック掛けようとか?」
「ああっ! 自分の事には疎いイガちゃんに、瞬時に見抜かれた!?」
「…………肯定すんなよ」
「あっ!?」
「………………」
「………………………………」
「康哉、人気高いらしいぜ」
「…………知ってるもん」
「凛とかも、康哉の事狙ってるらしいしな」
「ええっ!?」
奈那子の顔が、真っ青になる。
くくくっ。
面白いので、もう少しいじってやれ。
「康哉みたいなクソ真面目なタイプは、凛みたいなスチャラカな奴に転び易いんだよな」
「そそそ、そんなことっ!」
「実例も、身近にあるだろ?」
「……確かに静流……イガちゃんに転ばされちゃったもんねぇ……」
どっちがスチャラカ扱いなのかが気に成る。
お前んちの両親の事を言ったつもりだったんだが。
奈那子んちの両親は、片や無菌状態で、蝶よ花よと育てられたお坊ちゃま。
片や、家出のギャンブラーでマジシャンで暴走族とゆー、凄まじいカップリングだ。
「で、でも頑張るもん! 眼鏡っぷりなら、こっちの方が上だもん!」
眼鏡っぷりって……なんだ?
「最近は、ボブショートの眼鏡っ娘が隙間産業だもん!」
産業じゃねーだろ。
「ま、頑張れや」
「……え? 応援してくれるの?」
「んにゃ」
「ああっ! 激励の直後、即座に否定!?」
「んなこと言ってもよー」
「イガちゃんは、どっちの味方?」
「どっちかってーと、康哉がより不幸になる方だな。二人で協力して康哉を不幸のどん底に叩き込んでくれるなら、ゆーことねーな」
「…………」
苦い顔をしながら、奈那子が立ち去っていく。
よーやく静かになった。
みんなの笑顔を、見上げるように見る。
求めてた訳じゃない風景。
俺は何処まで行っても、
あいつ等とは違う。
影に生きて居ても、光りと溶け込める奴等。
でも、それでもいいんだって思う。
それが、大事な風景だって、解かっているから。
その風景から、一人の男が抜け出して来た。
好き好んで、闇にすりよる男。
「……正体、解かったか?」
「予想、なら」
「……やっぱり……」
「多分な」
解かり易い忍びを伏兵に仕立てて、気配を消失した本命で撃つ。
基本なのかも知れんが、どうしても伏兵に気を取られしまうのが忍びの業ってものだ。
嫌なコンビネーションだな。
もしあの時、訳の解からない焦燥感に駆られてなければ……。
「ほれ」
懐に隠していた筒を、康哉に投げる。
「これは?」
「本命が装備してた」
「貴様っ! そんなものをここで出すなどと!」
「お前が騒ぐと余計目立つ」
「くっ」
「パッと見じゃ、解からねーよ」
康哉が、手に有る筒を慎重に弄る。
ピクリとこめかみが動いた。
「これは……」
「見たこと有るか?」
「……いや」
「俺もだ」
俺が……『楯岡』が見たことの無い忍具。
矢尻として装着された筒の中には……。
1cm程度の針が、無数に収納されていた。
おそらく空中で展開し、針の雨を降らせる事を目的とした忍具なのだろう。
予想だが、半径5m以内は灰塵に帰する威力が有る筈だ。
いくら康哉とは言え、一回放たれた
自分の身を楯にしても、防ぎ切れる筈も無い。
しかもご丁寧に……。
「舐めるなよ」
「誰がな……まさか?」
「ああ。白い針と苦み。さっきから心臓がドキドキしてるぜ」
「貴様……」
「多分、アコニチン系だ」
「トリカブト……それもこの色からして、ヤマトリカブトか?」
さすが石川流。
毒物の扱いは、忍者にとっては必須だ。
攻撃に用いるにしても、防御するにしても。
「食らったのか?」
「食らうかよ。確かめただけだったんだが……」
「……貴様、大丈夫か?」
お、珍しい。
康哉が気遣ってる。
「もう直ぐ切れるさ。日本産の毒物なら耐性出来るんだがな……」
「渡海物か、大陸産だというのか?」
「いや……今まで味わった事無い。オリジナルだろう」
「ではやはり……」
「ああ」
あの気配を消失させる陰忍と言い、オリジナルの
いよいよ、牙を向いて来たってことか。
「…………」
頭に浮かんだ名前を確かめるように、康哉が何かを床にそっと置いた。
横たわる漆黒の金属。
「これは?」
「貴様の麦食みの直後、飛来した物だ」
一見すると、ただの
床に置くと、良く解かる。
青ひげの生えた
「その糸……鋼線だ」
済んでの所で
小技が効いてる忍具だ。
しかし、この
「多分……発火する」
「…………」
やはり。
それはあまりにも見なれた物。
『楯岡』の燐だった。
しかし、あの加工が難しい燐を、ここまで細工するとは……。
多分、親父にも出来まい。
「良く燃やさずに受けとめられたな」
「握部を衣装で絡め取ったからな。それに……」
「それに?」
「通常の
「…………」
さすが、同年代最高スペックと呼ばれた康哉。
あの騒がしく眩しい舞台の上で、その判断が出来るか。
味方で良かったぜ。
……味方、か。
「貴様が声を掛けねば、見過ごしたかも知れん」
「ご謙遜を。石川殿」
「……何を言うか、楯岡殿」
「…………次、口に出したら、ぶっとばす」
人の秘密を、こんな場所でえ!
まあ、最初にこんな場所でこんな話題を持ちかけたのは、俺の方だから文句も言い辛いが。
「まあ……礼を言う、大河」
「俺もだ、康哉」
少しだけ意外な顔をしながら、康哉が踵を返す。
微笑むことなく、目線を合わせることも無く。
だけど……。
だけど、な。
「ふー」
壁に背中を預けて、脱力する。
もう毒素は抜け切ったが、まだ気力が復活しない。
今度から、無闇矢鱈なんでも舐めるのは止めよう。
あ、でも……。
「なに、ニヤニヤしてんのよ」
「してねーっつの」
「そうかなー?」
ようやく静流ちゃん万歳網から逃れられたらしい。
ニコニコした静流が、紙コップを差し出してきた。
もー、腹ガボガボ。
あの針を舐めた瞬間ヤバイと思って、水をガボガボ飲んだからな。
それでも、なんか嬉しくて。
「ん」
紙コップを受け取る。
「は〜。疲れたぁ〜」
断わりも無しに静流が、横に並ぶ。
別に話す事も思いつかないので、ぼーっと教室の中の騒ぎを見詰めた。
みんな笑ってる。
夕日に照らされた笑顔。
ちょっとだけ……。
ちょっとだけ、自分が誇らしいと思っても悪くは無いだろ?
「ねえ、とら?」
「あん?」
「……終わっちゃったね」
「ああ」
夕日に照らされた、静流の髪。
忍者なんて、影に生きるもんだけどよ。
それでもコイツには、少しだけでも明るい所で生きて欲しい。
そんな風に思ってしまった。
「でもとらが素直に参加するなんて、思わなかったよ」
「木バナナの陰謀だ」
「解かってないなー」
「むっ」
思わず静流を睨みつける。
だが静流は、涼しげな顔で微笑んだ。
出の顔を照らす夕日は、光と陰を作り出していて。
「とらは解かってない。奈那子の方が、よっぽど解かってるよー」
ニコニコと微笑む静流が、眩しくて。
明日も元気だったら良いな。
口には出せないけど、そんな風に思ってしまった。
イカンな、こりゃ。
毒にやられてるぞ、俺。
だから俺は静流に、顔を歪めて言い放った。
悔し紛れだけど。
「そーかよ」
「そうだよ。ばーかばーか♪」
「なろー。ぶっ飛ばすぞっ」
「やってもいいよ♪」
「両手両足縛って、湖に叩きこんじゃる」
「いーよー。あたし、それでも泳げるもん♪」
「人の見てる前で、立ちバックで突っ込んじゃる」
「いー……わけ無いでしょ! ぶっ飛ばすわよっ!」
「うわっ! 立ちバックとかの単語の意味、知ってやんのコイツ♪」
「くぅ〜〜〜〜〜!」
「静流ちゃんは、勉強熱心ですなぁ♪」
「とらぁ!」
本気の怒りから、逃げ出すように立ち上がる。
あの予感とも言えない、漠然としたものに従ってて良かった。
コイツのこんな顔が見れるなら。
『楯岡』としちゃ、駄目な感情かもしれないけどよ。
それでも、な。
「あ、そう言えばとら?」
逃げ出そうとした俺を、静流が呼びとめる。
画策話術とか使う奴じゃないから、立ち止まっても平気だろう。
無意識に手を伸ばして、静流を引き起こす。
「ん。ありがと」
「なんだよ?」
「あのさ。劇のとき、麦食み使って康哉に呼びかけたじゃない。あれ、なに?」
聞こえてやがったのか、コイツ。
良く鍛えてやがんな。
「なんでもね」
「…………」
「なんでもねーよ」
「ふーん」
なにか言いたそうな瞳だったが、何も言わずに立ち上がる。
微笑んで。
俺の手を引く。
「ま、いっか。みんなと騒ご♪」
「……ああ。そうだな」
俺を、喧騒の中に
もし、静流を失えば。
この手を……光りに誘う手を、失ってしまうのかもしれない。
なんちて。
「あ、そうだ、とら」
「だから、なんだよ」
「お疲れ様。ご苦労様」
「…………」
「それからね………………」
夕日の中、静流が振り向く。
踊るスカートが眩しくて。
広がる髪が眩しくて。
笑顔が眩しくて。
まぶしくて。
「…………ありがと」
なにも見えなくなりそうだったから、思わずつぶやいてしまった。
「…………静流……………」
「ん? なに、とら?」
「……俺、旅行行くわ」
「…………うん♪」
泣きそうな笑顔が、なんだか可笑しかった。
END
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ああっ!
やっちまったぁぁぁぁ!
そんなこんなで、ここまで読んで頂いてありがとうございますのkyonです。
ああっ、やっちまった……。
久し振りだ、この感覚(笑)。
てゆーのも。
言い訳して、いっスか、いっスか?
駄目って言ってもしますが(笑)。
なんつーんでしょうね。
SSのつもりだったんですよ、ホント。
でも気付いてみたら……これ、続編だよぉ!(笑)。
本来のプロットとは、違うんですよね。
展開が。
こんな……『2』に結び付けて、どーすんだ、俺ぇ!
もー、参りましたな。
当初構成していたプロットに満足できなくなってきて。
気がついたら、物語だけが作者を置いてけ堀(笑)。
大河と静流を、京都で待ちうけるものは何か。
そして、あの展開……。
ああっ、書きてえ!(笑)。
とまあ、本来の『イベント追加型SS』から、ものゴッツい勢いで離反してしまった
SSになってしまいました。
終わらせたつもりの物語なのに……。
まだまだとら達と、付き合いは続くのか?
こんな所まで、好きな作家と似なくても良いのに(笑)。
それでは、ここまで読んで頂いて、ありがとう御座いました。
また何処かでお会いできたら嬉しいです。
実は、もう一つのやばげたる、『刃の下に―――陽炎―――』も執筆してるんで
すよね。
でもなんか……一度書いた物の焼きなおしは、面白くねー(笑)。
2004・3・14 『そう言えば劇ってどうなったんだ?』kyon
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